"伝説のなになに"というのはどの分野にも存在しますけど、英文参考書の世界で私がそう思う唯一の本がこちらですね。
中畑のインテグラル英文読解S (Vol.1) (Yozemi TV‐net)
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中畑のインテグラル英文読解S (Vol.2) (Yozemi TV‐net)
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今からおよそ15年ほど前に出版された本で、現在では絶版になっています。
著者の中畑佐知子氏に関してはなにやら謎めいた方で、ググってみてもほとんど情報に値するようなものが出てきません。
でもその存在を知る方が書かれたブログからは相当熱のこもったメッセージを感じることができます。
予備校講師が書いた英語参考書を貪り読んだおかげで大学入試に受かったこともあり、高校卒業後も趣味的に読んできました。
当ブログでも新刊本を中心に今年も結構色々取り上げてきたかな〜って気がします。
中畑佐知子氏の『中畑のインテグラル英文読解S Vol.1&2』は数年前たまたま、ブックオフで見かけました。
英語参考書に関しては高校生の頃から現在にいたるまで、発売されてきた順に時系列的なラインが私の脳内にあるのに(まっなんとなく ○゜ε^○)、インテグラル英文読解は見たことがありませんでした。
手にとって目に飛び込んできた思考者宣言というページにこうあります。
私の場合、美食や美男子はなくても、一向にわが人生に支障はない。はっきり言って、他煩悩はどうでもよいのだ。ところが、知的興奮、思考への欲求だけは、どうしても断ちがたい。この煩悩は捨てれらない。捨てるくらいなら、私は死ぬ。「我に思考の自由を与えよ。しからずんば死を。」である。
えっ( ̄(エ) ̄)ゞいってるやん!
更に目をひんむいて読んでいくと、
予備校の講師は、私の天職である。愛するものは二つ、英文解析と生徒。趣味と仕事が完全に一致した最も幸福な社会人の一人が、私である。予備校における若者への知的興奮の伝導に命をかけ、そこに一人の人間としての「道」を求めるものに、夫や子供がいるはずもなく、私は一生涯独身である。求道者は、孤独でなければならない。
英文参考書に「道」とあるではないですか。この文章の質感、どことなく似てる、あの方に。
英語習得への道のりを「英語道」と称する独自のロードマップに描き、幾多の英語探求者のケツを蹴りあげてきた日本英語界のリビングレジェンド松本道弘氏にです。
そいで凄いことにインテグラル英文読解Vol.1始まりの章ACT1のタイトルが「名詞構文の解釈」。
名詞構文を解釈できるようになることが、英文解釈にとって、最も重要な事である。いきなり重要課題に入るので、心して学びたまえ。
そしてかなり乱暴にいうと、この『インテグラル英文読解』1&2巻はこの名詞構文が多用された非常に崇高、難解な、私のような英語好きから見れば、果てしなく美しいオーロラのような大学入試英文をネタに、一生涯名詞構文の読み取りに困ることのない読解力を授けてくれる本といえます。
とにかく掲載されている英文の質が素晴らしく、大学入試英文殿堂入り間違いのない綺羅星のごとき英文達が並んでいます。Vol.2には中畑氏のこんな言葉が( ̄□ ̄;)
どうだ、もうとうの昔に気づいているかね?私が「英語の先生」などでは決してないということに。イディオムや語法ばかり教えるのはまっぴらごめんだってんだよ。私が和文のみならず英文も読解する唯一の理由は、英文も読んだほうが世界の知性に広く触れることができるから、である。この理由がなければ、日本人が英語を学ぶ必要などどこにあるんだ?あったら教えてくれ。〜中略〜 全国のしょうもない英語を入試で扱う大学よ、今すぐ廃学になってくれないかね?それが日本のためなんだよ。マジで。
ちなみに中畑先生、"佐知子"という名前から推察できるように女性ですよ(*0*;)
英文の解説も終始こんな語調で、肝っ玉がすわってない人が読んだら半べそ書きそうなテンションで進んでいきます。
ねっ最高でしょ。中畑のインテグラル英文読解S。
こんな素晴らしい本、絶版にして眠らせておくなんて
どういうこと(〃 ̄ω ̄〃ゞ
⬇Vol.1目次
⬇Vol.2目次
ちなみにこの本を手に入れた当時、本の自炊ブームがあった頃で、『中畑のインテグラル英文読解S』は裁断機とScanSnapを持つ友人の家でpdfにして、元の本は処分してしまいました。まさかamazonでプレミアが付くほど入試困難になっていたなんて知りませんでしたからヾ(´・ ・`。)ノ”
FUJITSU ScanSnap iX500 FI-IX500 | ||||
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なので今この神本は、iPadのkindleアプリライブラリの中に収まっています。
凡百の英文読解参考書数十冊分にあたる英文読解FORCEを得ることができます。
今年はまさかのまさかで横山雅彦氏のロジカルリーディングが帰ってきた年でもありました。
『横山雅彦の英語長文がロジカルに読める本』あのロジカルリーディングがポップな装いで帰ってキタ━━d(*`・(エ)・´*)b━━!! あの衝撃をもう一度!
『中畑のインテグラル英文読解S』もいつの日か、現状のぬるい大学入試英文では物足りないという人達の思いが通ずれば、その深い眠りから蘇るのかもしれません。
青い青い青春時代の高校生の頃、中畑佐知子先生の授業を受けてみたかったと心から思います。
それでは今日はこのへんで。